和とフレンチの見事な融合 「祇園呂色」小霜シェフが織りなす京都ならではのフレンチを堪能!

仕事で京都に訪れた際にお邪魔したフレンチ「祇園 呂色」

 

祇園呂色

 

 

有名ホテルやフレンチでの華やかなキャリアを持ち、ミシュランも獲得されている小霜シェフが創り出す京都ならではのフレンチがいただけるとあり、期待値も自然と上がる。

最寄駅は祇園四条駅になるけど、京都河原町駅最寄りのホテルに宿泊していて、歩ける距離だったので、散歩がてら鴨川付近を散策しながら伺いました。

 

鴨川を越えて、八坂神社へ真っ直ぐ向かう商店街の中にある井澤ビル5Fに居を構える「祇園 呂色」。
エレベーターが開いた瞬間に、その世界観に引き込まれる感覚。
艶やかで妖艶な「華」が活けられ雰囲気抜群。

 

 

スタッフに誘われカウンターへと案内される。
オープンカウンターのみの10席で構成され、今はコロナという事でソーシャルディスタンスをしっかり保つ為、席間隔を開けて6名のみで営業されているとの事。

完全予約制のディナーは2万円のコース1本という内容で、お客様が揃うと一斉にコースがスタートする。

ペアリングはシニアソムリエの佐橋さんが料理に合わせてご提案してくれました。

 

乾杯は贅沢にも「2008年ドンペリ」
移動の疲れも一瞬で吹き飛ぶ美味さ!

 

2008 ドンペリニヨン

 

 

プレゼンテーションとして、シェフが本日のメインとなる「生命」と題されるメニュー但馬牛の肉塊をご開帳!

 

但馬牛の肉塊

 

何とも艶のある肉汁が今にも滴り出すような但馬牛に期待値も上がる…

 

コースのスタートは「感謝」から。
五穀豊穣を願った料理。与謝野米をリゾット状にし、平たく伸ばして乾燥させ、そこに卵黄を乾燥させて作ったパウダーを乗せたもの。

 

「感謝」

 

シェフ曰く、卵かけご飯のイメージとの事。
風味も良くサクサクの食感で揚げ煎みたいな感じ。

 

ワインはフランスはジュラ地方のフランソワ ルーセット マルタンのメメマリー。

 

 

軽い微発砲感のあるすっきりした味わい。

 

 

「出逢い」と題したテーマは香り。
その食材の合わせはなかなかイメージを超えてくる。
こちらは牛蒡とローズマリーを合わせたスープ。

 

「出逢い」

 

温かい牛蒡と冷たいローズマリーで温度差と香りが楽しめるとても上品な味わい。

 

 

「神秘」はまさに神秘的な組み合わせ。
京都の平飼い卵を使用し、その濃厚な卵黄の上に雲丹と卵黄スープを重ねている。

「神秘」

 

キャビアはスプーンに別添えで、これがかなり塩分の少ないラトビア産のキャビアでメニュー開発にあたりかなりのキャビアを試されこのキャビアに辿り着いたそう。

まずは1/3程のキャビアはそのまま口にして、旨みを味わいます。
残りのキャビアは器が卵の殻なんで、割らないように慎重にその中に沈め、繊細に混ぜていただく。

 

贅沢にキャビアを卵の中に!

 

表面には見えない卵黄が奥からその濃厚な色味を見せ、雲丹とキャビアと混じり合い得も言われない恍惚な世界へと導いてくれる!

 

神秘的な巡り合わせ

 

自家製ライ麦のパンとエシレのバターにも手が出てしまう…

 

合わせたのは竹野酒造さんの丹(ni)
甘みのある喉越しも爽やかな好みの味わいの日本酒。

 

丹(ni)/竹野酒造

 

 

「夏の息吹」は彩り鮮やかなお野菜。
無水調理で野菜そのものの旨みを最大限に引き出している。

 

 

プューレビーツを敷き詰めた上にジャガイモで作ったパリパリの器を乗せ、中にはカリフラワーやズッキーニ、ミニトマト、オクラインゲンなど野菜がゴロゴロ入っている。

 

「夏の息吹」

 

上には人参のピューレをかけ、野菜の美味さ、甘みを堪能し、その柔らかな食感と器のパリパリ食感のコントラストも楽しめる1皿。

 

 

 

ワインはミラン ネスタレッツのオレンジワイン。

 

 

チェコ産のワインは初めてかも。
軽い土臭い感じがまさに大地の恵みの野菜とマッチング。

 

 

「大地と海」
賀茂茄子と鮑のマリアージュ。
三陸産の賀茂茄子と何とも大ぶりな泡に圧倒される!

 

「大地と海」

 

ソースは野菜ブイヨンをベースに何とも優しい香りが漂います。おかひじきとイタリアンパセリの天ぷらを乗せた1品は鮑の存在感が抜群で、プリプリの身が歯応え抜群に美味い。

 

 

ワインはルイ ラトゥールのシャサーニュ モンラッシェ。

 

 

香りが高く華やかなアロマとミネラル感が感じられる辛口で引き締まります。

 

 

「陰翳礼讃」
谷崎潤一郎の著名な随筆から取ったメニューは、随筆のように日本独特の陰影の美しさ、感性を料理で表現されている。
先程の鮑の肝を使ったフレンチ茶碗蒸し。

 

 

フレンチというと、明るい照明の中で映えるイメージが日本人にはあるが、日本古来の蝋燭の陰影を使った芸術のようなフレンチを感じて欲しいという小霜シェフの想いがこもった1皿。
肝とは言え全く臭みやえぐみは皆無、優しくまとまった味わいです。

 

日本酒はまさかのネーミングのシンクロ!
竹野酒造さんの陰翳(in-ei)は、亀の尾を100%使った日本酒。

 

陰翳(in/ei)/竹野酒造

 

 

そしてメインイベントの「生命」
オープニングの但馬牛の肉塊がローストされサーブ。
きのみとニンニクコンフィを添えて。
しっかりとした但馬牛の迫力ある肉脂は力強くもあっさりしているので全く重くない!

 

「生命」

 

パンチのあるニンニクコンフィと抜群の相性を見せる。
肉の強さが大黒しめじの優しい味わいとまた見事にマッチします。
肉の火入れも文句なしで表面は香ばしく、断面を見るとお分かりのように艶っぽい肉汁がしっかり閉じ込められ、噛むごとに肉の旨味が口いっぱいに広がる至福の時間が訪れる。

 

合わせるワインは貴重な1本を。

元オーパス・ワンのディレクターで現在もロバート・モンダヴィの24銘柄で醸造責任者を務めるジェヌヴィエーヴ・ジャンセンズが立ち上げたワイナリーからPORTFOLIO 2013

 

2013 PORTFOLIO

 

カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランをブレンドした奥深い味わいは、ベリーのような風味と後味はスパイシー様感じる肉に抜群の相性。

 

 

「結び」
七谷川の鴨をコンフィし旨味を最大限引き出した出汁に、セモリナ粉を使った開花郎の麺を合わせ具材は九条ネギのみの京都のフレンチならではの表現方法。

 

「結び」

 

鴨がネギ背負ってやって来る…じゃないけど、サッパリした中西出汁のコクがあり風味も抜群です細麺と抜群に合う!

 

 

「柑橘」
すだちのソルベ
目が覚めるような爽やかな酸味とほのかな甘みが口の中をスッキリさせてくれる。

 

「柑橘」

 

 

「共鳴」
一度に二つのデザートを交互に食べる事で味わいを高めながら完成するスタイル。
甘みがグッと際立ったピオーネのコンポートとチーズの風味が抜群のフロマージュブラン。

 

「共鳴」

 

「共鳴」

 

ピオーネの甘みとほのかな酸味、フロマージュブランの濃厚で舌に絡みつくチーズ感…
いつまでも食べ続けていたいデザート。

 

 

ハーブティーは広島のハーブの変態(とても良い意味合いで)と言われている梶谷農園のハーブを使用。

 

梶谷農園のハーブティー

 

個人的にはハーブティーはそこまで得意ではないもののレモングラス筆頭に華やかな香りが複雑に広がりかなり美味しいハーブティーと感じた。

 

 

 

「分かち合い」
柚木とプレーンのフィナンシェ
サクッとした心地良い食感と程良い甘さとプレーンと柚子が食べ比べれるプチフール。

 

「分かち合い」

 

デザートワインを合わせて貰いましたが、これが美味しかった。
甘みが強くフルーティーさもあり、舌触りはやあや重さのある完全に好みの味わいだったverduzzo(ヴェルドゥッツォ)フリウラーノ2013
これAmazonでも楽天でも売ってなかったんだけど何処かで買えないかなー?笑

 

verduzzo(ヴェルドゥッツォ)フリウラーノ2016

 

呂色が意味する漆黒の奥深く、艶のある鏡面的な黒い何とも言えない背筋がピンと張り詰める凛とした世界観と、小霜シェフのフレンチと和を掛け合わせた創作性溢れる料理の数々とその人当たりの良さ、シニアソムリエ佐橋氏の見事なペアリングのセンスにすっかり魅了されっぱなしの一夜でした。

また京都に訪れる際には更なる進化を体感しにお邪魔したい!

 

【祇園呂色(gionroiro)】

 

京都府京都市東山区花見小路四条西入ル北側266 井澤ビル5F

075-541-5510

完全予約制

ランチ:12:00~15:00

ディナー:18:00~又は19:00~セレクト

定休日:水曜(不定休あり)

10席